理学療法士・波田野征美の『波田ログ!!』

理学療法士の波田野がセラピストとしてトレーナーとしての日々

整形外科クリニックの理学療法士の働き方・勤務形態・給与などはどうなってる?

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どうも!!

 

東洋理学アプローチ研究会

Oriental Physio Academy代表理学療法士

波田野征美です!!

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この記事はこのような方におすすめです。

理学療法士学生でどこに就職しようか悩んでいる方

・転職しようと思っているけど、未経験の領域に進みたい理学療法士

・整形外科クリニックでの勤務しようか考えている理学療法士

 

理学療法士の職域が拡大していく昨今ですが

それでもやはり中心は医療現場ので仕事です。

 

その中でも様々な分野があるのですが、今回はその中でも私が理学療法士人生の大半を過ごしている

整形外科クリニックでの働き方について

お話しします。

 

 

整形外科クリニックとは

整形外科クリニックとは、骨・関節・筋肉・靭帯などの運動器系の疾患や障害の診断、治療、リハビリテーションを専門に行う医療施設です。以下に、整形外科クリニックの概要と主な特徴を説明します。

整形外科クリニックでは、以下のような疾患や障害を対象としています:

  • 骨折や脱臼:事故やスポーツによる外傷
  • 関節疾患:関節リウマチ、変形性関節症など
  • 脊椎疾患:腰痛、椎間板ヘルニア、脊柱側弯症など
  • 筋肉や靭帯の損傷:筋肉の断裂や靭帯損傷
  • スポーツ障害:スポーツによるケガや過度の使用による障害
  • 先天性疾患:先天性股関節脱臼や骨形成不全症など
  • 非特異性の慢性疼痛:画像所見などでは原因がはっきりしない慢性疼痛

 

整形外科クリニックにおける理学療法士の役割


<診断と評価>

ドクターの診断をベースに整形外科的テストで疼痛の原因や損傷部位を明確にします。

さらにストレスの原因となる姿勢や動作を分析患者の状態を正確に評価し、適切な治療計画を立てます。

 

<治療計画の立案>

患者個々の状態に合わせた治療プログラムの作成します。

患者の障害のグレード、職業、趣味、来院頻度などを考慮した上で院内でのリハでなくセルフケアの指導が必要となります。

 

リハビリテーション

手術後や怪我からの回復を目指すリハビリテーションの実施します。

 

<教育とアドバイス

外傷では損傷部位を再び損傷しないように、慢性疾患では増悪や再発を防ぐためのリスク管理や生活習慣のアドバイス、セルフケアの指導をします。

 


勤務形態、 一日のスケジュールと業務内容

<勤務形態>

診療時間は9:00から終了時間はクリニックによって違いはありますが、18:30や19:00が一般的です。

また土曜日や午前のみの半日勤務であったり、午後は早めの終業(17:00頃)になることが多いです。

休日は平日1日(水曜or木曜が多い)と日曜日、祝祭日、お盆休み、年末年始になります。

 

<1日のスケジュール>

8:30〜8:50  掃除などの業務前の準備

8:50〜9:00  連絡事項などの確認

9:00〜13:00  午前のリハビリテーション業務

13:00〜15:00  昼休憩。*月に数回のカンファレンスや勉強会あり

15:00〜19:00 午後のリハビリテーション業務

19:00終業

 

<給与 福利厚生>

整形外科クリニックで働く理学療法士の給与は以下のようになります。

平均年収300〜500万

賞与2〜2.5ヶ月分

退職金:ないところがほとんど。

福利厚生:各種保険、厚生年金。研修会参加助成。

*院長がスポーツのチームドクターをしている場合は観戦チケットが貰えたり、ゴルフ場の会員だったりすると系列ホテルの優待サービスを受けられたりするクリニックもあります

私が最初に働いたクリニックでは某高級ホテルグループの宿泊費が割引で宿泊できたので何度か利用させていただきました。

 

整形外科クリニックで働くために必要なスキル

<診断名に疑問を持ち、本当の原因を見つけ出す鑑別スキル>

整形外科クリニックでは前述になったように骨折や脱臼などの外傷の方も来院されますが、それ以上に非特異性の慢性疼痛(肩こりや腰痛など)スポーツ障害(野球肩・肘など)の患者が来院します。

脳血管障害や骨折などの外傷のように原因疾患がはっきりしていているのに対して、慢性疼痛などは毎日の生活習慣による微細損傷の積み重ねで引き起こされるため、受傷機転がはっきりしていません。

また、整形外科クリニックでは1日に200人前後の患者が来院されるため、ドクターは1人1人の患者の診察に時間をかけることは事実上不可能です。

さらに保険適応になる診断名が決められており、保険請求するために実際の疾患や障害の診断名がつけられないことが多々あります。

例えば、代表的なスポーツ障害である「オスグッド・シュラッター」もリハビリ適応外の診断名となるため、請求する際には「膝の靭帯損傷」や「膝内障」という診断名で請求するしかなかったりします。

この2つの理由により、ドクターの診断は画像所見だけで考えられる診断名、保険請求ができる診断名をつけるので、診断名は「間違っている」ということを前提にしなくてはいけません。

そのため、理学療法士が整形外科テストなどを駆使して、患者の症状がどの組織の問題によって引き起こされているかを鑑別しなくてはいけません。

医師法の問題で理学療法士が実際に診断名をつけたり、患者に詳細な説明をすることはしてはいけないことになっていますが、実際に診察・診断をする必要があると言っても過言ではありません。

 

徒手療法の高い技術力と運動メニューの豊富な引き出し>

患者は外傷・術後の後遺症であったり、生活習慣により軟部組織の高密度化や瘢痕化が起こり、関節運動の制限やそれ自体が痛みの原因になっていることがほとんどです。

そのため、制限された関節運動を誘導する「関節モビライゼーション」

疼痛を引き起こす筋硬結(トリガーポイント)を直接リリースしていく「トリガーポイント療法」

トリガーポイントを含めた筋・筋膜を幅広くリリースしていく「筋膜リリース」

各組織間の癒着をリリースし滑走性を高める「組織間リリース」

などの徒手療法の技術が必要になります。

また、長期間の不動なのにより筋力低下を引き起こしていることも多く、筋力トレーニングの知識も必要ですし、過用だけでなく誤用が受傷の原因になるため、運動連鎖など身体の正しい使い方の知識が必要となります。

そう言った問題を解決するために運動メニューの引き出しの数、正しいハンドリングを獲得する必要があります。

 

<通院させる、自主トレを行わせるためのコミュニケーションスキル>

整形外科クリニックが一般的な病院のリハビリと決定的に違うのは

「患者は毎日リハビリをしない」という点です。

当たり前ですが、整形外科クリニックは入院はせず、患者が通院してリハビリを行うのですが、仕事や家事など様々な都合で来院できる曜日や時間帯が限られます。

さらにクリニック自体の来院患者数も多いため、リハビリの処方も多くなり、リハビリの予約枠はあっという間に埋まります。

そのため、推奨されているような頻度でリハビリを行えることはほぼありません。

また、効果を実感できなければ通院を勝手にやめてしまうということもあります。

そのため、しっかりとした鑑別や高い治療技術があった上で、通院の必要性をしっかり納得してもらうコミュニケーションスキル。

またリハビリに通えない日に患者自身でケアやトレーニングを行ってもらうためのコミュニケーションスキル。

さらにリハビリ職は医療職であると同時に接客業ですから、単純に嫌われないためのコミュニケーションスキルが必要となります。

 

整形外科クリニックの良い点

<一般病院よりも給与が高い>

一般病院の理学療法士の1日の算定単位は18単位程度になることが多いように見受けられますが、整形外科クリニックでは来院患者数が多く、リハビリの予約は基本的に埋まります。

1週間の算定上限MAXになることが基本になるので、その分給与は高くなる傾向になります。

 

<休日が多く、ワークライフバランスを取りやすい>

元々病院は祝日などは関係ない上に、だいぶ前から365日リハが推奨され、土日もリハビリを行う一般病院も多くなっています。

しかし、整形外科クリニックは定休日がしっかり決められている上に、祝祭日も休診にするクルニックがほとんどです。

夏のお盆休みを設定するクリニックも多く、一般のサラリーマン同様の大型連休があります。

また、院長しかドクターがいないクリニックだと、たまに院長が「学会で数日いないから」という理由で突発的な休診日があったりします。

私が2つ目に働いたクリニックでは院長が「飛び石連休が鬱陶しいから」という理由でGWが11連休になったり、お盆休みも丸々1週間休診になったり

秋口になると学会の予定なんて調べても見当たらないのに「整形外科学会の学会があるから・・・」と言って数日間の休診になったりなんてことも。

奥さんを溺愛していた院長なので、愛人とかではなく、単純に「疲れた」って理由だと思いますがwww

 

<昼休みが長い。勉強やトレーニングに昼寝。一時帰宅や副業も>

クリニックでは午前中の診察が多く、診療時間内に診察が終わらないこともあったり、夕方以降に仕事帰りの方の受診に対応するため昼休みが2時間あります。

そのため、昼食を済ませても1時間半近く時間が余ります。

その時間をべんきょうに使う人もいれば、トレーニングに使う人もいますし、たっぷり昼寝をする人もいます。

家が近い人であれば一旦家に帰って、家事を済ませる人もいたり、中にはPCなどで副業のための作業をしたりする人もいます。

私は20分を食事、30分トレーニング、30分副業、30分昼寝という感じにしてました。

またこの長い昼休みを使って、毎週火曜日は同期のみんなで外食ということもありましたね。

このような形で日中に有効に使える時間があるのが良いですね。

夜に家帰ってからは中々勉強したりトレーニングしたりというのが難しかったりしますので。

 

<医師とのコミュニケーションが取りやすい>

整形外科クリニックは当たり前ですが小規模で、原則的に院長が自ら切り盛りしています。

だからこその忙しさはありますが、院長が常にいるので、用事があった時に声をかけやすいですし、陽気な院長であれば、休み時間に院内をウロウロしてスタッフと積極的にコミュニケーションを取っています。

なので、わからないことも知れますし、そこで信頼を得られれば、特別待遇をしてもらえたり、院長がスポーツドクターをしていれば、スポーツ現場の仕事をもらえたりできます。

私も2つ目の病院では1年で60万円の年俸アップを提示してもらえたり、「俺は波田野をウチの中心にしていく構想でいるからな。」とその後もどんどん年俸を上げてもらえました。

最終的には4年半在籍して20代で520万円まで上がりましたよ。

*その時にはセミナー講師として活動していたので、その3〜4倍は自分で稼いでましたがw

 

整形外科クリニックの悪いところ

<拘束時間が長い>

良いところでも触れましたが、整形外科クリニックの特徴の1つとして昼休みの長さがあります。それは良いところでもあるのですが、その分就業時間が遅くなるため、昼休みを有効活用できない人にとっては昼休みを1時間にして、早く帰らせて欲しいという嘆く理学療法士がいるのも事実です。

 

<物理療法の嵐!!リハ助手業務を兼任>

多くのクリニックは物理療法を患者さんに実施してくれるリハ助手さんを置いていますが、何度も言うようにクリニックに来院する患者数は想像を絶します。

リハ助手さんだけでは回せなくなることもあるため、予約の空いている時間はもちろん、施術を一旦止めて、物理療法の対応をしなくてはいけない時もあります。

私が1つ目に働いていた病院で最初にいたリハ助手さんが辞めた後は、理学療法士が全ての物理療法の対応をしなくてはいけなかったため、とにかく慌ただしい職場になってしまいました。

 

<治療結果を示せないとしんどい>

一般病院のリハビリでは「回復期」という言葉があるように、機能が回復していく期間がありますし、ある意味リハビリの質関係なく、身体の自然な回復能力である程度機能が回復していきます。

それでも患者は「リハビリのおかげで」と言って感謝してくれるので、自分の実力がなくてもそれに気付かないという人もいます。

原因疾患がはっきりしている上、不可逆性の疾患がほとんどですから、「しょうがないよね。」と納得することも容易です。

しかし、整形外科クリニックではそうはいきません。

理学療法士がしっかりと鑑別して原因を突き止め、高い技術で治療をしていかないと、いつまで経っても症状が変わらないということになります。

そうなると患者からも冷たい目で見られますし、露骨に態度に出してくる患者もしますし、最終的に無断で通院をやめてしまうということも多々あります。

また前述のように患者の予定や担当患者の多さによってリハビリの予約が困難になり、余計に治療の効果を出しにくかったりします。

そのため、結果が出せない自分に悩む日々を続けることになり、精神的にしんどいことがあります。

私もトリガーポイント療法に出会う前は、エビデンス通りの治療をやっているのに症状が取れずに辛い思いをしました。

 

<退職金がない>

全部のクリニックではありませんが、クリニックの経営はとても大変で、スタッフの退職金を積み立てる余裕がないということがほとんどです。

新設のクリニックでは特にその傾向があります。

私が1つ目に働いたクリニックは退職金制度がありましたが、2つ目のクリニックは「ゆくゆくは退職金制度作るつもりなんだけど、今はまだなぁ。」と言っていましたね。

 

 

整形外科クリニックで働く際の職場選びのポイント

職場選びとなると最初に基準にするのは給与や福利厚生だと思いますが、これはどこのクリニックでもたいして変わりはありませんので、それ以外のポイントについてお話しします。

 

理学療法士の人数は?物理療法中心のリハ室作り?>

クリニックは規模が小さい割に、来院患者が非常に多いという完全にキャパシティオーバーになります。

そこで重要なのが理学療法士の数です。

リハ室を見た時に物理療法の機器がリハ室も大半を埋め尽くしていて、ベッドが空いたスペースにちょこんと置かれているだけで、理学療法士の数も数人しかいないというクリニックだと、リハスタッフが疲弊する可能性が非常に高いです。

ドクターは物理療法よりも理学療法士によるリハビリの方が効果も高いし、単価も高いため、予約の空きを見つけては容赦無くリハオーダーを出してきます。

当日のリハオーダーじゃなくても、どんどんリハ予約を出していきます。

そうなると、予約枠はどんどん埋まり、予約が取れないという状況になります。

1週間の算定上限が108点位ですから、単純に考えて最低でも週1のリハビリ頻度を維持するには担当数は54人が限界です。(1回2単位で計算)

しかし、理学療法士の数が少ないと、70人80人になることも当たり前のようになります。

私が週3の非常勤で現在(2024年)働いているところではすでに私の担当数は60名になっており、週1どころか2週に1回になってしまっています。

そうなると、患者からも「予約取れないじゃないですか。」とクレームが飛んできます。

また、理学療法を出せなくなってくると、なんとか物理療法で凌ぐしかなくなり、物理療法のオーダーもどんどん増えてきて、今度は物理療法の対応に追われるようになります。

なので、理学療法士が10人以上在籍していて、理学療法に力を入れているため、物理療法は最低限の物(骨折の治癒促進のための超音波など)しか置いていないというクリニックが理想的です。

そういったクリニックは少ないかもしれませんが、探せばありますので、妥協できない人は頑張って探してみてください。

私が2つ目に働いていたクリニックは院長が「理学療法と普段の自主トレが大事。慰安目的に物理療法なんて全部捨てたいくらいだ。」と言っていたので、物理療法は数台だけ、その代わりにアスレチックトレーナーを数名雇い、パワープレートという機械を数台置き、その機械での10分程度のトレーニングとケアで消炎鎮痛扱い算定して回していたので、非常に働きやすかったですよ。

 

まとめ

いかがでしたか?

整形外科クリニックの理学療法士に求められる能力は一般病院の理学療法士に求められる能力とは少し違い、「リハビリ」というよりも「治療」であり、ある意味「整体師」と言えます。

前述のように医師の診断名と患者の訴える症状が一致しないことが前提になってくるため、確かな鑑別スキルと高い治療技術、通院させるコミュニケーション能力が必要になるため、大変な部分もありますが、将来的に整体院など自費分野での独立を目指したいる理学療法士にはスキルを磨くには最適です。

また、運動部の学生がスポーツ障害で来院することが非常に多いため、スポーツに関わりたい理学療法士に人にもやりたかったことがしやすくおすすめです。

もちろん、クリニック独特の多忙さに疲弊することもありますが、「理学療法士が欲しいのに、求人が・・・」と悩んでいる開業医も非常に多いため、就職自体は容易ですし、交渉術を学べば給与も上げやすくなります。

私のOPAの部下も交渉術に長けていて、600万以上という相場を大幅に超える年俸をゲットしていましたからね。

拘束時間を気にせず、昼休みを有効に使える人にとっても最高の環境ですので、少しでも合いそうなら、整形外科クリニックでの勤務を考えてみてくださいね。

 

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またその質問の返答をYouTubeでさらに深く掘り下げてますので、ジャンジャン質問してくださいね。

 

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