さぁ、今年もこの季節がやってまいりました。
年に一度の自己満足企画
波田野的年間ベストアルバムTOP20
是非、ご覧ください!!!
- 20位 エモーショナルで空間的な独特の音世界
- 19位 オシャレなアーバンポップ
- 18位 余白の葛藤や虚しさをそっと包み込む
- 17位 若手なのにベテランのような円熟味
- 16位 スマホ世代の奇才がしっかり音楽作ってみました
- 15位 『point』を超える名盤の誕生
- 14位 キング・オブ・ステージの貫禄
- 13位 日常を独特の感覚で捉える
- 12位 あの超大物の孫?!クセのあるビートに酔う
- 11位 ようやく時代が追いついた超ベテランジャズバンド
- 10位 常に最高傑作。ポストロック界のレジェンド
- 9位 淡々と激しく。不思議なオルタナティブロック
- 8位 唯一無二の多幸感
- 7位 よりポップに、かつより前衛的に
- 6位 喪失・・・そして再生
- 5位 モンスターバンドはやはりモンスターバンドだった
- 4位 自分を慈しむ12のハグ
- 3位 ビートの強さが際立つダンサブルな1枚
- 2位 YOASOBI現象は終わらない
- 1位 圧倒的表現力の境地
20位 エモーショナルで空間的な独特の音世界
『つくる』 / ひとひら
2021年結成、東京出身の4人組バンドの1stフルアルバム。
シューゲイザーやエモ、ポストロックの流れを汲んだ2本の絡み合うギターが魅力的。
ボーカルが少なめなので、その音の世界の酔いしれることができる。
19位 オシャレなアーバンポップ
『DEAD AND BREAKFAST』 / Yohlu
福岡初のスリーピースバンドの2ndEP。
心地よいブレイクビーツの「slow laser」、名曲「utero」、メロウな「landmark」、sトリーミングでヒットした「strawberry fields」など上質なアーバンポップが聴ける良作。
18位 余白の葛藤や虚しさをそっと包み込む
『余白にいたら。』 / 4na
注目のシンガーソングライター4naの1stアルバム。
バイラルヒットとなった「hazama」のコンポーザーであるShun uenoとタッグを組んだこのアルバムは世界観が統一されたコンセプチュアルばアルバムとなっている。
タイトルは「どこか満たされない人生の余白」を表していて、メランコリックなメロディやサウンドと4naの淡々とした歌はその余白の虚しさや葛藤をうまく表現している。
17位 若手なのにベテランのような円熟味
『PORTRAIT』 / Childspot
メジャー2ndアルバム。
前作もそうだったが、このバンドはとにかく「渋い」。
高校生のうちにデビューしたので、今でもメンバーは全員若いのだが、とにかく渋い。
そして、その渋さが全方向に渡って放たれているのだ。
ネオアコであったり、ソウルであったりジャズであったり、はたまた90年代ブリットプップや00年代ロックリバイバルの空気感もあったり、兎にも角にも40代以上の音楽オタクに刺さりまくるのだ。
そして、その完成度が恐ろしく高い。
本当にこの子達、なんなの?
16位 スマホ世代の奇才がしっかり音楽作ってみました
『・archiveEIEN19』 / 諭吉佳作men
小学6年生から作詞と作曲を始め、その制作方法はiPhoneの「GarageBand」というパソコンどころかスマホでという新時代のシンガーソングライターとして脚光を浴びたのが15歳。
その時には「波田野年間ベストアルバム」「年間ベストソング」でも上位に選んだでんぱ組.incの『形而上学的魔法』も提供しているという異端児。
そんな彼女も20歳を迎え、音楽的な基礎ができてきた印象。
当時は理論なんてなく、スマホで自分が気持ち良いと感じたリズムや音を組み合わせただけの混沌とした音だったが、多くの楽曲提供や長谷川白紙などとの交流によって、以前のような無茶苦茶さは無くなった。良い意味で。
実際に長谷川白紙のようなメロディラインもあったり。
15位 『point』を超える名盤の誕生
徹底的に音数を削ぎ落としたミニマルでチルなアルバムである。
とてもチープな表現をすればそうなってしまうのだが、その精度が凄まじい。
コーネリアスの音楽性を決定づけた大名盤『point』以降、コーネリアスのアプローチは音を点にすることだったと思うが、そのアプローチが今作で一つの到達点にたどり着いたのではないかと思う。
細野晴臣、高橋幸宏、テイ・トウワといったエレクトロミュージックの重鎮たちと結成したMETAFIVEでの経験もそれに一役買っているのであろう。
ところどころでMETAFIVEを思わせる空気感がある。
コンプライアンスの時代で大昔のやらかしが世間から大バッシングを受けてしまっているが、それでもコーネリアスは不滅である。
14位 キング・オブ・ステージの貫禄
『Open The Window』 / RHYMESTER
言わずも知れたキング・オブ・ステージ。
ライムスター6年振りのアルバム。
まぁ、色々と賛否両論で否定派の方が多いようですが、俺は好き
確かにこれまでのアルバムのようなコンセプトはないし、西原商会の曲であったり、芸人のザキヤマをフューチャーしたような「???」という曲もあるんだが、それ以外のクオリティは高いし、このコンセプトの希薄さの割のクオリティの高さに「やはりキング・オブ・ステージだ。」と貫禄を感じる。
13位 日常を独特の感覚で捉える
『大吉』 / Summer Eys
元シャムキャッツの夏目のソロプロジェクト。
多くのアーティストがやってきたようなありふれたプログラミングをベースしながらも、ブラジル音楽などの影響を受けた非常に多国籍感溢れたアルバム。
どこか懐かしいんだけど、どこか新しい。
日常を切り取った何でもないことに独特の視点で意味を見出した歌詞も相まって、何とも言えない高揚感のあるアルバムになっている。
12位 あの超大物の孫?!クセのあるビートに酔う
『tradition』 / cho co pa co cho co quin quin
細野晴臣の孫が在籍するバンドの1stアルバム。
ビートにこだわりのあるバンドで、世界中のあらゆる音楽のビートが入り乱れる非常にカオスなアルバム。
そして、ボーカルやメロディライン、言語感覚などの随所にはやはり細野晴臣の影響は間違いなく存在する。
11位 ようやく時代が追いついた超ベテランジャズバンド
『Spectre』 / BLU SWING
2004年結成のジャズバンド。
2019年のベストアルバム以来の最新オリジナルアルバム。
ジャズ、ロック、ソウルをハイセンスに組み合わせた音楽性がシティポップのようなオシャレ音楽が流行っている今の時代にフィット。
ようやく時代がBLU-SWINGに追いついてきた。
10位 常に最高傑作。ポストロック界のレジェンド
『Apersand』 / Spangle call lilliline
日本ポストロック界の雄の最新作。
20年のキャリアがありながら、最高傑作は常に最新作。
MVがないのが悔やまれる。
9位 淡々と激しく。不思議なオルタナティブロック
『サニーサイドへようこそ』 / 笹川真生
4枚目のアルバム、
浮遊感がありドリーミィで、だけど毒々しい笹川真生の音楽はそのままにテンポが早く、陽気な雰囲気も加わった唯一無二のオルタナティブロックの形。
とにかく最初から最後までトリッキーな曲展開で目まぐるしさにどんどんと世界に引き摺り込まれる感覚。
歪んだギターや手数の多いドラムに唸るベースライン。だけど、エモいわけではなく冷たくザラっとした感覚だけが残るのも不思議な感覚だ。
すごいの一言。
8位 唯一無二の多幸感
『Blossom』 / kiki vivi lily
現在のJ-POPシーンでは最高の歌姫の1人、僕らのkiki vivi lily。
より複雑になるシーンの中で、よりシンプルに音数少なく、チルな音楽と歌で勝負。
kiki vivi lilyの歌声はもはや「癒し」を超えて「多幸感」になってます。
今作も最高です。
他のアーティストでは味わえない感動に包まれます。
7位 よりポップに、かつより前衛的に
『Camelia』 / RAY
シューゲイザーに乗せて歌うアイドルの3rdアルバム。
1曲目こそこれまでのようなRAYを感じさせる「秘密が痛いよ」から始まり、2000年代エレクトロのような非常にアッパーテイストでダンサブルな「フロンティア」、「ディス・イズ・ノット・ア・ラブ・ソング」のキャッチーな流れで掴まれて、その後にゴリゴリに攻めた『KAMONE」「火曜日の朝」でディープな世界に引き摺り込んで、その後は「読書日記」「Bloom」「マテリエ」「ため息をさがして」でまたメロウでキャッチーな曲で終わらせる。
曲のクオリティもsることながら、アルバム全編を通して、テンションの起伏が気持ちよく綺麗に流れていく。
久しぶりにアルバムとしてストレスのない作品に出会えたと思う。
6位 喪失・・・そして再生
『luminous』 / ART-SCHOOL
活動休止から復活。
正直、このバンドも少しずつ「う〜ん・・・」っていうアルバムが続いていた。
その要因が木下のボーカルの変化であったり、曲のテンポであったりで、全体的にダル苦なってたなと思っていた。
しかし、今作は復活1発目ということで「今までで最も純度の高いART-SCHOOLを出そう」という決意の下で作成されてそうだ。
そのおかげで木下のイノセンスな歌声も戻ってきたし、ギターもフォグをいっぱい買って珠0ゲイザーっぽくしようとしていたのに疾走感があるせいでシューゲイザーっぽくなってないんだけど、それがまたART-SCHOOLの世界観をより強調するような形になってるし、中けんや藤田のリズム隊も強固なグルーブで、とにかく俺たちが大好きだったART-SCHOOLが戻ってきたんだ!!!
5位 モンスターバンドはやはりモンスターバンドだった
『miss you』 / Mr.Children
賛否両論を巻き起こしている21枚目のオリジナルアルバム。
これだけのキャリアの超大物アーティストがいまだにアルバムをリリースする度に新しい地平線を見せてくれることに驚愕するし、その新しい地平線が今作が賛否両論を起こしている要因だろう。
今作はこれまでのアルバムと比べて、非常にアコギ感が強い。
そのためバンドというよりも桜井さんのソロアルバムのような雰囲気が漂ってしまっているのdと思う。
そして、歌詞も桜井さんの苦悩や葛藤を包み隠すことなくぶち撒ける。
そう。
ぶち撒けるんだ。
多くのアーティストがキャリアを重ねるにつれて、当たり障りのないことを歌い始めたり、特にサザンオールスターズなんて、微妙に社会風刺なんか挟んできて、寒すぎる。
そんな中でMr.Childrenはいつまでも俺たちの味方だ。
本当にいつまでも「Mr.でありながらもChildrenで居続けるんだ。」と思わせてくれる名盤です。
4位 自分を慈しむ12のハグ
『12hugs(like butterfies)』 / 羊文学
メジャー3rdアルバム。
とんでもないクオリティだった前作を今作はさらに超えてきた。
とにかく2曲の「more than words」だろう。
自分を押し殺すことに慣れて、正解を選ぶことがどんどん簡単になっていく。
世の中とはそういうものだと言い聞かせているけど、それが正しいことなのかはわからなくなってくる。
誰もが抱えるそんな苦悩に対して答えになる曲かもしれない。
そして、アルバムタイトルでもあるバタフライハグは心の傷を癒す感情療法で行われる治療法である。
塩塚が自身のことを歌った12のバタフライハグは、あなたにとってのバタフライハグにもなるだろう。
3位 ビートの強さが際立つダンサブルな1枚
『沈香学』 / ずっと真夜中でいいのに
アルバムタイトルにある「沈香学」は「じんこうがく」と読む。
ずとまよは実際にある言葉の漢字を入れ替えたり、語呂合わせをしたりするので、これは「人口学」のことを言っているのだろ。
人口学とは「人口を社会の一部として捉え、人口の変動が社会にどのような影響を与えるのかを分析する学問」である。
そして「沈香」とは日本書紀にも登場するほど古くから使われる香木の一種である。
そして、この樹木が甘く芳しい香りを放つのは樹木が傷を負ったり、菌に冒された時だとされている。
まるで「人も同じようなものだ」というメッセージを感じてしまう。
そんなアルバムでは、アーティストとして自信をつけていきながらも、それでも注目を集めることへの葛藤などACAねのパーソナルな感情がこれまで以上に表現されているように思う。
また、サウンド面でもビートの強さが強調されており、ボーカルでも明らかにメロディよりも気持ちの良いビートであることに重きが置かれラップ調のパートも増え、アルバム全編を通してダンサブルなアルバムになっている。
2位 YOASOBI現象は終わらない
『The book3』 / YOASOBI
2020年の1stアルバム『The book』に続いて2度目の受賞。
元々、小説を元に曲作りをするというスタイルもあって、今作も様々なタイアップ曲が多いアルバムだが、今作はそのスケール感が違う。
『葬送のフリーレン』『機動戦士ガンダム-水星の魔女-』『推しの子』という2023年で話題になり日本のアニメ史に名を残す名作が悉くYOASABIであったという事実。
原作のイメージを忠実に表現する音楽は今後も話題作はYOASOBIに任せておけば間違いないという流れになるだろうし、原作を知っているとYOASABOの音楽を聴くたびに原作の世界が浮かんでしまいどうしようもなくエモい気持ちになる。
YOASOBIの地位を再度確立させた傑作アルバム。
1位 圧倒的表現力の境地
『十二次元』 / 女王蜂
3年ぶりのフルアルバム。
その間、フロントマンのアヴちゃんはミュージカル「ヘドウィグ・アングリーインチ」やアニメ映画「犬王」に出演するなど、演劇にも関わってきた、
その影響がこのアルバムからは随所に感じられる。
そして、その世界観は他のどんなアーティストにも真似はできない。
とにもかくにもアヴちゃんである。
アヴちゃんの変幻自在で圧倒的な歌唱力がないと、そもそもこんな音楽は思いつかない。
アルバムのどの曲も1曲の中で変幻自在に暴れ回るが、むちゃくちゃではなく、しっかりとポップミュージックとして成立しているし、演劇を観ているような気持ちにさせてくれる。
ラストの表題曲『十二次元』はTOOLのような音像。
まさに9つ先の次元の音楽。
というわけで、2023年のラインナップはこの通り。
2023年の前半は「なんだか、悪くないけどパッとしないなぁ。」なんて感じていたんですが、もしかしたら、仕事の影響で心を亡くしていたいたからかもしれません。
埼玉に帰ってきて、少しずつ音楽と向き合う時間が出てきて、この記事を書くために聞き直していたら「あれ?めっちゃいいアルバム多いな。」なんて感じて、ランキングをずっといじり返して「あぁ〜!!決まらねえ〜〜!!」ってなってました。
2023年は個人的には例年以上にポストロックやシューゲイザー、ジャズを好んで聴いていたかなと思います。
あなたの心に触れた1枚はありましたでしょうか?
それでは!!