理学療法士・波田野征美の『波田ログ!!』

理学療法士の波田野がセラピストとしてトレーナーとしての日々

【プロ野球選手解説】日本球界の常識を変えるやり投げピッチング。山本由伸のピッチングフォーム

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どうも!!

Oriental Physio Academy代表理学療法士波田野です。

 

今日はオリックスのエース・山本由伸投手です。

 

解説動画


【プロ野球選手解説】やり投げで日本の常識を覆す。山本由伸のピッチングフォーム

 

 

 

体重移動初期

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体重移動が始まりますが、軸足は伸ばしたままで上体も垂直のまま並進移動しています。

どちらも軸脚にタメを作るモーションではありません。

理想はここで軸脚がパワーポジションになりつつ、上体も軸脚側に少し傾くことで軸脚が圧縮され床半力を受けることができます。

またプレートの使い方も足のアウトエッジをプレートに当ててるだけなので上手くありません。

 

ドロップ&ドリフト

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始動直後こそ軸脚のタメのないモーションでしたが、腕を上げ始めるタイミングで軸脚の股関節と膝が曲がりパワーが生み出されます。しかし、状態は変わらず垂直のままなので完全に軸足へのタメがあるわけではないのがマイナスポイントです。

 

 

スタンダードWコッキング

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ここから山本投手がやり投げで手に入れた秀逸な腕の使い方が現れます。

肘からあげる「インバートW」ではなく、手から上げる「スタンダードW」で肩が90度外転位の時には手は肘よりも高い位置にある理想的なトップです。

肘から上げる「インバートW」では関節構造上、肩のインピンジメントやこの後の肘下がりを誘発してしまいます。

また下半身は投球のための回旋が始まっていますが、上半身は反対側への回旋で大きな捻りが生まれているのがわかります。

十分なパワーが溜められています。

 

 

アクセラレーション&アウトサイド90

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腕を大きく使っていましたが、アクセラレーションとともに肘は曲がってきます。

しかし、肘の角度は90度以上曲がることはありません。

90度以上曲がると内側側副靭帯への負担が急激に増えるため90度以上曲げないことは非常に重要なポイントです。

また踏み込み脚が着地した時に投球側の腕が垂直になっているのも理想的な形です。

 

 

アクセラレーション後期&リンケージシステム

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大きく胸を張り、肩や肘ではなく胸で加速しているのがよくわかります。

上肢の小さい筋肉ではなく大胸筋などの大きな筋肉を使うことで大きな力を使いながらも肘や肩への負担を減らします。

 

 

フォロースルー&グラブブロッキング

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このフォロースルーはダメダメです。

まず踏み込み足の突っ張り。

コレは大腿四頭筋のブレーキによる二重振り子で加速している証拠です。

加速はするので大きなパワーは生みますが、そのパワーは上半身に集中するので怪我に繋がります。

またグラブもわずかではありますが前に残ってしまっています。コレは「グラブブロッキング」と言って身体の回転を止めてしまう動作となります。

理想は踏み込み脚は突っ張らずに膝が足部の上に来るように膝を曲げた状態で前方へ重心移動を十分にしつつ、膝が足部の上に乗ってからはハムストリングスによる股関節の伸展が起こることです。コレによるハムストリングスによる前方推進力を上乗せできパワーが増幅されますし、リリースポイントが前になるため体感速度もアップします。

グラブ側の腕ももっと外旋が入り、肘がもっと引けると運動連鎖的にも体幹の振りが大きくなります。

体幹はこれではまだまだ起き上がりすぎと言えるでしょう。

 

 

フィニッシュf:id:pata0511:20200529003915j:plain

フィニッシュではここで止まってられるほど安定しています。

日本ではこの状態の方が「下半身が安定している」「素早く守備に移れる」と称賛されますが、メジャーでは滅多にないピッチャー返しに備えるよりも1塁側流れるくらい振り切った方が結果的に打たれないだろうという考えですので、ベストではありませんし、逆に振り切れてない証拠にもなっています。

 

まとめ

いかがでしたか?

やり投げを取り入れたことで山本投手の投球側の腕の使い方や胸の張りはトップメジャーリーガーに匹敵するハイクオリティとなっております。

その反面、下半身の使い方はお粗末で改善の余地があります。

それでもこれだけの圧倒的ピッチングをできているのは驚愕ですが、下半身の使い方さえ改善できればメジャーリーグに渡り、ダルビッシュ大谷翔平を超えてトップメジャーリーガーとして活躍できる可能性があると感じています。

まだ21歳ですが、アメリカでは若年層のレベルアップが加速化しています。

やり投げも「肘を使わない投げ方」として取り組んだだけですので下半身の使い方までまだ意識が向ききれてないのでしょう。

今後は下半身を使い方を徹底的に練習していただきたいですね。

 

 

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